皆さんこんにちは!
ムクヤホームです♪
今回はニュースでも話題になっていた「都内の一戸建て住宅で太陽光パネルが設置義務化される!?」というお話しについて解説していきたいと思います。
太陽光発電に関するお金の話、そして家の屋根に太陽光発電を載せてはいけない理由についても詳しく書いていきますので、是非最後までご覧ください!
■なぜ太陽光パネルの設置が義務化されるの?
5月11日に東京都が一戸建て住宅を含む新築の建物に太陽光発電パネルの設置を義務付けるよう提言する答申案をまとめました。
内容としては、
年間2万平米、大体200棟程度以上供給の住宅メーカーなどに対して、延べ床面積2,000平米未満の戸建てやマンションを新しく建てる際には太陽光パネルの設置が義務になる
というものです。
今のところ私たちのような中小工務店への義務付けはありませんが、大手メーカーとなると避けられないものになります。
ですから対象になる業者さんのところでお家を購入されると、その分の費用は住宅価格に上乗せされることに…
ちょっと驚いてしまいますよね。
そもそも都内の新築物件の屋根に太陽光パネルを設置しても、周りの建物が高かったり、家自体が密集していたりするので、影が多くなり、十分な日照量を確保することが難しいと思います。
なおかつ地震や台風など災害が起こったときの落下リスクを考えた時に、自分の家だけでなく、近隣のお家にも被害が及ぶリスクも。
また、今から10年から20年前、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)を導入したことにより、「お家で発電した電気を売って儲ける」ということが言われていた時代もありましたが、現在の売電価格は10年前の半分以下の約17円から21円。
そう考えると昔に比べたら得をするのが難しいと思いませんか?
今回の太陽光パネル設置義務化というのは、2030年に向けて温室効果ガス排出量を50%に削減する目標のためのものだと言われています。
環境面のことを考えるといい目標ではあると思う反面、行政が単純に「目標達成のために焦っているのでは?」と感じてしまいます。
■太陽光発電を設置するにはいくらかかるの?
太陽光発電は、様々な機器を組み合わせて構成されているので、太陽光パネル以外にも費用がかかります。
パネルを屋根に乗せる架台や、パワーコンディショナーという太陽光をお家で使える電気にするための機械も必要になってきます。
その他にも発電をモニターする機械や、設置の工事費用、万が一パネルが落下したときの保険料なんかも必要ですね。
技術が発達し、昔よりも発電効率の良く値段もさがってきていますが、30坪くらいのお家で導入する場合、2021年の相場が27.5万円/kWですので、大体4.5kWのせるとしたら約124万円くらいになります。
もう1つ意外と盲点なのが、太陽は昼間しか出ていないので夜間は発電できませんし、梅雨時など曇りや雨の日が続く場合は発電効率が落ちてしまうのです。
ですから発電した電力を、災害時や夜間にも使いたいという方は、追加で蓄電池というものを購入する必要があります。
蓄電池も昔に比べると安くなったとはいえ、容量次第では1台あたり150万円から300万円くらいかかります。
もちろん設置業者さんのキャンペーンや補助金を使って初期費用を抑えることもできますが、それぞれの機器には耐用年数があります。
早ければ10年〜15年で寿命を迎えてしまいますし、メンテナンス費用のことも考えなくてはなりません。
ですから太陽光発電パネルを自宅に導入するのは、簡単に決めないほうがいいのではないでしょうか。
■家の屋根に太陽光発電を載せてはいけない理由
お金の話もそうですが、もう1つ建設会社という立場から言えることがあります。
太陽光発電パネルは屋根の上に乗せる場合が多いと思いますが、実はあまりおすすめできません。
なぜかというとお家の寿命を縮めてしまう可能性があるからです。
太陽光発電パネルを屋根の上に乗せる時は、基本的に屋根の下地に使われている垂木(たるき)と言われる木に打ち付けるので、屋根や防水シートを貫通させてしまい、雨漏りのリスクが上がってしまうのです。
もし雨漏りしたとしても太陽光パネルメーカーさんや業者さんが補修や保証をしてくれればいいかもしれませんが、状況次第では雨漏りしていたとしても保証してもらえない可能性もあります(泣)
最近では屋根材の間に挟んで貫通させないタイプも出ていますが、災害時や経年の劣化による落下の危険性がないかと言われると少し疑問が残ってしまいます。
ですから広い土地をお持ちの方になってしまいますが、屋根ではなく敷地内にパネルを設置して自宅に電力を引き込むとお家の寿命を縮めることなく安心して使えると思います。
■環境のことを考えることは大切だけど、他にできることもある
太陽光パネルを設置する主な理由としては、光熱費の削減や売電ができるなどの金銭面、再生可能エネルギーを活用できるといった環境面の2つが挙げられると思います。
確かに金銭面では光熱費の削減や売電をすることでプラスになるケースもありますが、2022年現在では全員がそのメリットを得られるわけではないですし、その分大きなリスクを抱える可能性があります。
そして環境面のことを本当に考えるのだったら、お家自体を長持ちさせ、断熱性能を高めることで消費電力を抑えた家づくりをすることで貢献できると思います。
安い建材や工法で寿命の短いお家だと、20年から30年で建て替えをするとなると、もちろん取り壊すことになりますから、廃材が沢山出てCO2の排出量を増やしてしまう結果になってしまいます。
解体サイクルの長い長寿命のお家の方が長期的にみたらCO2の削減につながりますし、消費電力の抑えられる高性能な住宅を建てた方が本当の意味でエコにつながるのではないでしょうか。
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